金曜日のスバルくん

パパはいつも、金曜日のお迎え当番

栗の木をめぐる冒険

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実家近くの畦道を散歩していたところ、用水路を挟んだ向こう岸に栗の木を発見しました。見ると、枝には青い毬栗がついています。

栗の木に興味を持ったスバルが、毬栗を取りたいと言い出しました。まだ色付きもなく固そうな毬栗は、簡単に取れそうにありません。しかし、枝の毬栗は青いものの、地面には去年の秋に落ちたと思われる茶色の毬栗がいくつかありました。
「青いのを取っても意味ないから、あそこに落ちている茶色の栗を拾おう」と提案すると、「じゃ、パパ取って」と言います。
自分で取る気は全くないようです。

栗の木との間には、幅の広い用水路が横たわっています。手を伸ばして届く距離でもなく、用水路を飛び越えることも難しそうです。何かいい方法はないかと思い、辺りを見回すと、少し先に橋が見えました。そこから向こう岸に渡って、栗の木まで折り返す事ができます。もちろん、スバルも同行させます。

橋に向かう道すがら、向こう岸に目をやると、大人の腰丈まで草が生い茂っていました。陽射しはないものの湿度は高く、草むらに分け入るのは気が引けます。どうしたものかと考えているうちに、橋にたどり着きました。

「どうする?ここ行く?」
草むらを見て、スバルは躊躇しています。
「パパ行ってきてよ」
「やだよ」

しばらくして、スバルがいい方法を思いつきました。栗の木のある土手と平行して、今は使われていない幅1m程の用水路があります。水もなく、草も生えていません。両側に生い茂った草の葉で覆われているものの、屈めば通り抜けできそうです。

早速、ふたりは枯れた用水路を進みました。トンネルのようになった用水路を、草をかき分けて進む姿は、まるで冒険隊のようです。 スバルは虫を恐れながらも、順調に前を歩いていました。ところが、道半ばで立ち止まると、突然声をあげました。
誰もいない田んぼに、金切り声が響きます。
「キャー、クモがいるー」
パパを押し退けて、逃げ出すスバル。
クモぐらいで騒ぐなと思いながら、パパが一歩踏み出すと、行く手を遮るかのようにクモの巣が張られています。そして、その真ん中には、黒に黄色の模様が入った大きなクモが待ち構えていました。
「キャー」
慌てて逃げ出したパパ。先に逃げ出したスバルに追い付くと、顔を見合わせて笑ってしまいました。
「ゲームオーバーだね」

栗の木をめぐる冒険は、こうして幕を閉じました。
夏の日の小さな思い出です。
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